お疲れ様です、ななさき(@nanasaki_blog)です。
今回は奇蹟という名の呪いが降りかかり、物言わぬ三角頭が世界を救う聖なるグロゲー『Blasphemous(ブラスフェマス)』の評価・レビューです。
難解な宗教的ストーリーが織りなす上に立つ、繊細なグラフィックでかなり世界観構築に力を入れられた作品でした。
主人公がどう見てもブラックマジシャ......
それ以上言ってはいけません
3.0
Bランク:良作
- 宗教色の強い難解で魅力的なストーリーとそれを支える芸術的なグラフィックデザイン
- ゲームプレイ部分はモッサリしているし、爽快とは言えない
- ファストトラベル開放までが苦行
ゲーム評価 | Bランク(良作) |
クリア時間 | 約14時間(真エンドまでにかかる時間) |
開発元 | The Game Kitchen |
発売元 | Team17 |
発売日 | 2019年9月10日 |
対応機種 | PlayStation 5・Nintendo Switch・PC(Steam) |
ゲームジャンル | メトロイドヴァニア・ハックアンドスラッシュ |
公式サイト | 公式サイト |
概要・あらすじ
人々に降り注いだ神の意志を暴け
美しくも残酷な世界を旅する高難易度アクション
――敬虔にして残酷な神の意志、それは「奇蹟」と呼ばれた。クヴストディアと呼ばれる世界に降り注いだ「奇蹟」は、すべての魂に潜む罪を具現化し、厄災となって人々に邪悪な呪いをかけた。
あなたは悔い改める者、「悔悟者」となってクヴストディアを旅することとなる。死と生の輪廻に閉じ込められたあなたは、たった一人で「奇蹟」の根源を突き止めなければならないのだ。
しかし、その道は困難に満ちあふれている。
異形なる恐ろしいモンスターや、ひどく荒れ果てた土地が行く手を阻むだろう。あなたの体を引き裂こうとするモンスターを打ち砕き、その手に持つ「懺悔の剣」を強化する償いの涙を手に入れよ。『Blasphemous』は、神の意志として降り注いだ「奇蹟」の謎を解き明かす高難易度ダークファンタジーアクションゲームだ。
引用元:Blasphemous(ブラスフェマス) | My Nintendo Store
Blasphemous(ブラスフェマス)はドット絵で洗練された宗教観を描く、メトロイドヴァニアとハクスラがメインとなった2D横スクアクションゲームです。
本作では奇蹟が日常のように人に降りかかっています。
その奇蹟は人を助けるだけではなく、人を怪物のように豹変させ、常に黄昏のままの世界など、人々にまるで呪いのように重荷となっています。
主人公はそんな世界で奇蹟を受け、死から蘇った人物。
奇蹟によって歪んだ世界を元に戻すため、たった一人で奇蹟の根源を探る旅と出る。
というストーリー仕立てとなっているゲームで、タイトルにもある通りですが神聖な物を描く世界観に似つかわしいのか、似つかわしくないのか、かなりのゴア表現が目立つのが特徴です。
Blasphemous(ブラスフェマス)の特徴
- 奇蹟が呪いのように働き、壊れてしまった世界を救うための物語
- 宗教観が強い世界観をドット絵で華麗に表現
- ゲームプレイとしてはメトロイドヴァニアであり、そこそこの難易度で死にゲー要素もある
- ゴア表現が目立つ
メトロイドヴァニアとしての探索要素やキャラ強化は楽しい
本作ではメトロイドヴァニアとして、シームレスに繋がっている広いステージを探索し、最奥に潜むボスを倒しながらストーリーを進めていくこととなります。
道中ではフレーバーテキストの書かれたアイテムを拾ったり、NPCと出会ったりと探索自体がおもしろいです。
また、敵を倒すことで手に入るポイントを使えば、自キャラを強化できたり、アイテム装備で特殊技能が手に入るなど戦闘が楽しくなる要素も盛りだくさんです。
厳密には違いますが、エスト瓶みたいなアイテムやフレーバーテキスト、ポイントで自キャラ強化などをするとソウルライクなのかな? という感じもしますね。
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おもしろかった・よかったところ
Blasphemous(ブラスフェマス)を実際にプレイしてみた感想として、おもしろかった・よかったところをレビューしていきます。
Blasphemous(ブラスフェマス)のおもしろかった・よかったところ
美しくも残酷な世界を表現したデザイン
Blasphemous(ブラスフェマス)はストーリーからして宗教色の強い作品です。
その独特の世界観を唯一無二の存在としているのは、このゲーム内グラフィックデザインでしょう。
ここで挙げている画像はあくまで一例です。
それ以外の画像はちょっとグロ要素が強いかなと思ったので省きました。
例えばですが、剣で串刺しにされた天使? とか、
結婚を嘆いた3姉妹が奇蹟によって異形な怪物へと混じり合った姿とか、
牛から生まれる黄金の顔を持つ天使とか。
宗教画で見るような世界観を演出しているのがこのゲームなんです。
基本的に物はデカく、そして血みどろだったりします。
出てくるものすべてが恐らく罪とそれに対する贖罪を表現しているのでしょう。
正直、自分は宗教学に明るくはないので全く分かりませんでしたが、そういった芸術を見るような楽しみ方もできるのが本作です。
あくまでネットの知識ですが、神聖なものは悪を祓う存在であるため非常に恐ろしく描かれ、反面悪なるものは人間を誘惑するために魅力的に描かれると見たことがあります。
これが事実だとすると、このゲームでは描写されるのは聖なるものとされているので、そのように残酷さと恐ろしさを感じるデザインとしているのかもしれません。
デザインのポイント
- 宗教色ある独特な世界を芸術のように描いている
- 巨大かつゴア表現が目立つデザインで、神聖さと畏怖を感じる
- 宗教画を見るような感覚で楽しめる
デカいの見るとこわいんじゃあ~
ななさきは海も苦手です!
罪過と贖罪を果たす印象に残るストーリー
奇蹟とはその名の通り奇蹟であり、人知を超えた事象がこの世界では働きます。
人にとってありがたいものであれば、口づけをして病が治るとか、他人の痛みを肩代わりしてあげられるとかそういったものです。
しかし、この世界では人に都合がいいものだけが奇蹟ではありません。
人の手に負えない神の意志が奇蹟なのです。
そのため、結婚をしたくないと祈った3姉妹は肉体をバケモノにされ、精神は延々と苦しむ肉体と精神が苦しみ続ける状態へと変貌を遂げました。
これも人の手ではできない奇蹟ですね?
このような事象が世界全体で起こりまくっているのがこのゲームの世界なのです。
このような奇蹟に対して、当然人はどうしようもないのでもうそういうものだと諦めて生活しています。
そんな奇蹟を(おそらく)止めるため、主人公は贖罪の旅をします。
ゲーム中ではほとんどの人は奇蹟を止めようとはしていないので、必然的に主人公一人で戦う=メトロイドヴァニアやハクスラの要素。
奇蹟の根源を探るため、あちらこちらを転々とする=メトロイドヴァニアの要素。
奇蹟のより、拠点となる街以外は異形のバケモノばかりの戦闘=ハクスラの要素。
奇蹟を止めようとする主人公は、ブラスフェマスの世界では冒涜者であり、狂信者に襲われます=ハクスラの要素。
このようにストーリーとゲームプレイでのご都合設定が上手く噛み合ったストーリーとなっているのです。
また、基本このゲームは贖罪がテーマであり、人を助けるといいことがあります。
道中で出会う困っているNPCを助けてあげるとメリットがあるのもいいですよね。
ストーリーのポイント
- 罪過と贖罪がテーマのストーリー
- ストーリーとゲーム都合が噛み合っていて、違和感がないストーリー
- ブラスフェマスの世界では人の手には負えない奇蹟が働いており、それが人にとって薬にも毒にもなっている世界感
ゲームタイトルのブラスフェマスは冒涜的って意味があるんだ!
神の奇蹟を止めようとするなんて、冒涜的ですもんね
気になった・悪かったところ
ここからはBlasphemous(ブラスフェマス)を実際にプレイしてみた感想として、気になった・悪かったところをレビューしていきます。
Blasphemous(ブラスフェマス)の気になった・悪かったところ
敵の速さに対して、主人公がモッサリしすぎ
本作は2D横スクアクションゲームですが、そこまで軽快なアクションではありません。
かといってアクションの1つ1つが重厚な攻撃でもありません。
攻撃は軽いうえに、モッサリしているというのが本作の評価です。
1アクション、1アクションにゲームとして隙を用意している? のかキャンセルがやたらと効きにくいです。
そのため、最近のゲームに慣れていると直感的にプレイしにくくて気になります。
ゲーム内アイテム自体に着地の隙を減らす物とかがあるので、おそらくこのモッサリ具合は意図的です。
それがゲームの特徴なら、それはそれでいいんです。
ただ、敵はそんな隙なんかなさそうに快適にビュンビュン飛び回ってるので、なんだこいつ! って気分になりますね。
モッサリッシュアクションのポイント
- 1アクション、1アクションごとの遅延、後隙が大きくプレイ面で気になる
- ゲームで意図的に設定されている特徴ではあるが、敵は軽快に動くので自キャラはちょっとモッサリすぎる
これはモッサリッシュアクションの系譜!
自分がプレイした2D横スクは隙が少ないものばかりでしたからね
ファストトラベル開放まで遅すぎる不親切設計 もはや不快
この手の探索ゲームでは、序盤はいいですが終盤はステージが色々と開放されるのでファストトラベルが非常に大事となります。
いまどきただ広いステージを端から端まで移動してられないですからね。
本作でもしっかりファストトラベルは用意してあるのですが、これが開放されるのが非常に遅い!
まず上の画像。これがおそらく”普通にプレイしていて開放される”ファストトラベルです。
各ステージに用意されたファストトラベルポイントを発見することで使えますが、まあかなり使い勝手が悪いです。
あまりに移動が不快すぎて、ファストトラベルは他にないのとかゲーム途中で検索する始末です。
検索した結果、このこまめに設置されている復活拠点ごとのファストトラベルがあると知り、一安心。
いつ開放されるのかな? とワクワクしながら調べたところ......。
”ゲーム内のとある場所”で”ゲーム内ポイントをかなり使う”ことで開放されると判明。
普通にプレイしていて気付くわけないだろ!!
というのが正直な感想でした。
しかも探索して自キャラを強化するというメトロイドヴァニアの楽しみとして集めたポイントを、ファストトラベルを開放するためだけにかなり使わなくてはいけません。
メトロイドヴァニア要素と相反しており、ここは非常に不快でした。
ファストトラベルのポイント
- 普通にプレイしていて開放されるファストトラベルは、各ステージごとに1つ用意されているもので非常に使い勝手が悪い
- 復活拠点ごとのファストトラベルは非常に便利だが、普通にプレイしていて気づかない要素。
- この仕様にはもはや不快感すらあった。
おまけ:Blasphemous(ブラスフェマス)のストーリー考察
ここからはちょっとしたおまけとして、ストーリー考察を書いておきます。
最初に言い訳しておくと、ななさきは宗教学知識はないし、このゲームをめちゃくちゃやり込んだわけではありません。
あくまでゲームをプレイした感想として、こういうストーリーなんじゃないかなという視点で書いたものです。
ネタバレ防止として、考察部分はタップすると読めるようになっています。
ゲーム評価まとめ
以上がBlasphemous(ブラスフェマス)のクリア後レビューとなります。
おまけでストーリー考察を書いておきましたが、正直よく分かっていません。
それくらい難解でかつ芸術的な世界観の構築に成功しているのが本作です!
ただ、ストーリー面やグラフィック的な演出は認めるのですが、ゲームプレイ部分では爽快感もなく微妙でしたね。
ファストトラベルとかもはや苦行ですし。
書いていて思ったのですが、ゲーム内における苦行部分が主人公が成してきた贖罪の証として設計されているのかもしれませんね。
ファストトラベル? そんなもんに頼らず歩いて贖罪しろ! 的な。
最後に一言。
ちょっと主人公、敵の倒し方エグすぎない?
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Blasphemous(ブラスフェマス)
Blasphemous. Developed by The Game Kitchen. © 2019. Blasphemous is a trademark or registered trademark of The Game Kitchen. Published by Team17. © 2019. Team17 is a registered trademark of Team17 Digital Limited.